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先日、前の会社の元同僚から「最近キツいわ」と連絡がありました。腕も体も問題ない、まだまだ走れる男です。それでも手取りが目に見えて減って、生活が苦しくなったそうです。理由は単純で、残業ができなくなったからです。
これは本人の働きが落ちたわけではありません。2024年問題で残業の上限が強く意識されるようになり、これまでのように走れなくなった——ただそれだけで、収入が落ちてしまいました。そして同じ「2024年問題の影響」でも、ほとんど痛まずに済んでいる人もいます。この差は、本人の頑張りだけではなく、「どの会社にいるか」に大きく左右されます。
私は海上コンテナのセミトレーラーを引いている現役ドライバーで、運行管理者(貨物)の資格も持っています。だから制度の側の理屈も、現場で実際に何が起きているかも、両方の目線で書けます。この記事では2024年問題の「解説」はしません。そこは大手メディアがいくらでも書いています。代わりに、2024年問題以降の今、給料を落とさず働き方も守れている会社を、どう見抜くか。そこに絞って、現役の本音で書いていきます。なお、特定の会社を名指しする記事ではありません。見聞きした一般的な傾向と、一個人の見解として読んでください。
そもそも、なぜ2024年問題で手取りが減るのか
細かい制度の話は省きますが、要点はひとつだけ押さえておきたいです。トラックドライバーは、もともと残業代に給料が依存しやすい職種です。基本給はそれほど高くなく、長く働いて残業代を積んで手取りを作る——そういう構造の人が多かったです。だから「残業時間が減る」ことは、そのまま「手取りが減る」ことに直結します。

2024年4月から、トラックドライバーの時間外労働には年960時間という上限が設けられました。あわせて改善基準告示も改正され、休息は継続11時間を基本とする、連続運転は4時間まで、といった運転者を守るためのルールが強められています(数字は一般的な目安で、扱いは会社・運行管理者の判断によります)。守る側のルールとしては正しいです。ただ現場で起きたのは、「働けば稼げた業種が、働きたくても働けない業種になった」という変化でした。改善基準告示そのものや拘束時間の中身については、トラックの車中泊と出先点呼の記事で運行のリアルとして触れているので、制度面が気になる人はそちらも読んでみてください。
「統計は横ばい」が、現場の感覚とズレている理由
2024年問題以降の賃金について、統計では「横ばい」「むしろ微増」と出ることがあります。それを見て「なんだ、給料減ってないじゃないか」と思う人もいるでしょう。ですが、これは現場の感覚とはっきりズレています。
横ばいや微増にできているのは、減った残業代を、基本給アップや手当で補える資金力のある会社の話です。各地に拠点を持ち、車両も人員もたくさん抱えている会社だからこそできる対応であって、そこを中小まで含めて「業界全体が横ばい」と語るのは、現場とズレています。私の周りで「キツくなった」と言っている人間は、たいてい補填がない側にいます。統計の平均値は、補える会社と補えない会社を一緒くたにならしてしまうから、しんどい人の実感が消えてしまいます。
大手なら安心、とも限らない
では資金力のある大手に行けば安泰かというと、そう単純でもありません。大手は2024年問題以降、労基や世間の目がより厳しくなっています。少しの違反でも営業所の停止や自社車両の運行停止といったリスクがあるため、大手ほどかなり安全側に寄せた運用をすることがあります。
たとえば、会社によっては労使で結ぶ36協定の特別条項を使い、月45時間を超える残業を想定した運用をしているところもあります。一方で、大手ほどコンプライアンス上のリスクを嫌って、あえて月45時間以内に収めようとすることがあります。守りとしては堅実です。ですが、これまで月60時間前後の残業で手取りを作っていた人が45時間以内に抑えられると、差し引き15時間分ほどの残業代が消えます。
しかも大手ほど残業単価は基本給から計算され、単価が高い傾向にあります。そのため月換算で約3万円ほど手取りが落ちることもあります。さらに、賞与の計算方法によっては、手当や月例賃金の変化が賞与に響くこともあります。月3万円でも年間で約36万円。そこに賞与への波及まで含めれば、年収で40万円近く差が出るケースもあり得ます。感覚としては、一年のうち一か月分の給料が消えるくらいのダメージです。ドライバーにとって、これはかなり大きいです。
大手と中小それぞれの働き方や条件の違いは、大手物流と中小運送の違いの記事でも掘り下げているので、規模で迷っている人は読んでみてください。
元同僚の話:大阪長距離が「取り合い」から「全員ローテ」になった
以前の会社の元同僚や後輩から聞いた話が、変化を一番わかりやすく表していると思います。
2024年問題以前、大阪への長距離配車は大人気でした。拘束ギリギリまで走る運行で、一発で8時間分くらいの残業を稼げます。当時は希望制で、残業を稼ぎたい家族持ちや、欲しい車がある連中で取り合いになっていました。一方で希望しない人もいました。毎日必ず家に帰りたい、車中泊が無理、SAやスタンドのシャワーが苦手、風呂に入れないのが耐えられない——理由はさまざまです。要するに、やりたい人がやり、やりたくない人はやらなくて済んでいました。
それが今は、月に一回程度、希望しない人も含めて全員でローテーションして回しているらしいです。以前は「月60時間程度」が目安だった残業が、今は「45時間以内」に収める運用に変わりました。長距離をやりたい人ほど、走らせてもらえなくなって収入が落ちています。冒頭の元同僚が「キツい」と言っているのは、まさにこの変化のことです。
私自身はどうだったか——手取りを守ってくれたのは「組合」だった
ここまで元同僚の話をしてきましたが、では同じ業界にいる私自身はどうだったか。先に言うと、私は手取りがほとんど落ちませんでした。働きが特別だったわけではありません。会社が違っただけです。
海上コンテナの残業は、長距離とは少し毛色が違います。走った時間が残業になるのはもちろんですが、それと並んで大きいのが、ヤードの「並び」——コンテナを出し入れする順番待ちの列——での待機です。この待ち時間が、結果的にまとまった残業になります。港のヤードには受付の締め切りがあって、夕方——時刻はヤードによって違いますが、私のいた現場では16時半ごろでした——になると、係員がその時点の最後尾の車両に「ここが最後」と分かる札を掛けます。それ以降は、列の後ろに付くことができません。逆に言えば、札が掛かる前に並びへ入れてしまえば、その待ち時間がそのまま残業=収入になります。だから当時は、いかに締め切り前にヤードへ並ぶかが、地味に大事でした。
とはいえ、自分はまだ別の積み下ろしの最中で、その締め切りに間に合わないこともあります。そこで使ったのが場所取りです。乗用車や会社の連絡車を先に列へ置いておけば、自分が着くまで順番をキープできます。「悪いけど場所取っといてくれ、今度一杯おごるから」——先輩や上司にそう頼まれて、車を走らせたものです。ちなみにその”一杯”が、ちゃんと回らない寿司になって返ってきたのは、今となっては良い思い出です(今じゃ怒られそうなやり方ですけど)。
2024年問題以降は、その並びの途中で協力会社とヘッドを交代する運用が増えました。トレーラーは台車を切り離してヘッドだけ載せ替えられるから、一人で最後まで待たずに待機を分け合い、拘束を短くするわけです。つまり海コンも、残業の出方はしっかり削られました。
それでも私の手取りが守られたのは、労働組合が機能していたからです。数年前の春闘で、組合がそれまでの平均残業を算出し、その約9割にあたる固定の残業手当を会社に認めさせました。おかげで、実働の残業がそれより少なく抑えられた月でも、固定された分の残業代が支給され続けています。残業を削られても、収入は守られたということです。
同じ2024年問題のもとで、補填のない会社にいる元同僚は手取りが落ち、組合のある会社にいる私はほとんど落ちませんでした。この差は、本人の腕ではなく「どの会社にいるか」で生まれています。会社選びが効く、というのはこういうことです。求人票ではまず見えませんが、労働組合がちゃんと機能しているかどうかは、地味に効きます。

中小・歩合の現場は、もっと厳しい
ここからは少し重い話になります。小さな会社の中には、大手のように手当で補う余裕がないところもあります。現場では「労基が監査に入った時が会社のたたみどき」という言葉が、半ば冗談、半ば本気で交わされているくらいです。これまで長時間労働でなんとか回してきた会社ほど、2024年問題の影響をまともに受けています。
長距離の歩合給の会社はさらに大変だと聞きます。以前は手取りを増やすために高速代を節約して下道を使う運行もありましたが、拘束時間や残業時間の制限がある今は、下道で時間をかける走りが難しくなりました。結果として全区間高速を選ばざるを得ません。会社側から見れば燃料代・高速代・タイヤ代・税金や維持費がどれも上がっています。それでも拘束時間は削られ、高い高速代を払ってでも時間内に収めるしかありません。こうなると、フルで働いても月の手取りが単純に減ってしまいます。人によっては、生活が成り立たず別の職種に移るレベルまで落ちている、という話も耳に入ります。
誤解してほしくないのは、こうした会社のすべてが悪いわけではないということです。きちんとやろうともがいている経営者も多いです。問題は会社単体というより、安く運ぶ仕組みがまだ業界に残っていることにあります。だからこそ、入る側が中身を見極めて選ぶ必要があります。「思っていたのと違った」を避けたい人は、きついと言われる理由をまとめた記事も先に読んでおくと、覚悟の解像度が上がるはずです。
苦しいのは、ドライバーだけじゃない
もうひとつ知っておいてほしいのは、2024年問題で苦しいのはドライバーだけではない、ということです。会社側もかなり苦しいです。これまで通りドライバーを動かせなくなったことで、運べる物量そのものが減ります。収益も減ります。時間通りに配送できない、これまでの本数が運べないといった理由で、荷主との契約を切られることもあります。だから会社としても、本当は手当を出したくても、ない袖は振れない状態に追い込まれています。
国は「荷主から適正な料金をもらいましょう」と言います。それ自体は正しいです。ただ現場ではそう簡単にいきません。安く請ける会社がいくらでもいるからです。中には法令や許可の面でグレーに見える運び方をして、極端に安く請ける業者があるとも言われています。そうなると運送会社側に交渉の余地がほとんどないケースもあります。最近はトラックGメンが荷主側の改善にかなり動いてくれていて、流れは少しずつ良くなっていると感じます。ただ、それがドライバーの手取りに反映されるのは、正直まだ先の話でしょう。
だから今は、会社ごとの「差」が見える=転職のチャンスだ
2024年問題から約2年が経って、各社の対応に安定が出てきました。給料体系を見直した会社、ドライバーの使い方を変えた会社、仕事のやり方そのものを変えた会社、そして何も変えられず現場にしわ寄せしている会社——この差が、今かなり見えやすくなっています。その会社がドライバーを大事にしているか、生活を守ろうとしているか。それが可視化されてきた時期だからこそ、私は今が本当に転職のチャンスだと思っています。
とはいえ、頭ではチャンスだと分かっていても、なかなか一歩を踏み出せない人は多いです。その心理的なブレーキの正体については、『転職したいけど動けない』本当の理由で書きました。
物流を止められないのに担い手は足りず、トラックドライバーを含む「自動車運転の職業」の有効求人倍率は、近年2倍を超える高い水準が続いています。直近でも全体の平均を大きく上回り、おおむね2.7倍前後で推移しています。平たく言えば、一人のドライバーを何社もが取り合っている状態です。だからこそ、年齢を理由に諦める必要はありません。経験を積んだ40代・50代を歓迎する現場は、いくらでもあります。動くなら、差が見える今です。
この人手不足の裏側には、若い担い手が入ってこない一方で、ベテランが定年で次々に抜けていくという構造的な問題があります。なぜトラック業界で高齢化と人手不足が同時に進むのか、その本当の理由はトラックドライバーの高齢化はなぜ進む?人手不足の本当の理由で掘り下げました。
参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」職業別の有効求人倍率。自動車運転の職業の数値は集計時期によって変動します。
「2024年問題でも給料を落としたくない」「ちゃんと対応している会社を選びたい」人へ
ドライバー専門の求人サイトなら、給料の出方や残業・拘束の条件、車種や荷役まで絞り込んで求人を探せます。まずはどんな条件の求人が出ているか覗いてみるだけでも、今の自分の働き方が相場とどうズレているかが見えてきます。
規制も収入も守れている会社の見抜き方【運行管理者目線】
ではどう見抜くか。運行管理の側から見て、「規制を守りながら、ドライバーの収入も守れている会社」には共通点があります。私が見るポイントは大きく4つです。

① 運賃を荷主にきちんと転嫁できているか
結局のところ、原資がなければ手当も給料も出ません。燃料も高速代も上がる中で、その分を運賃に乗せてもらえている会社は、ドライバーの取り分を守る体力があります。とはいえ正直に言うと、外から運賃を直接見抜く、分かりやすいサインはありません。そのうえで、傾向として参考になる目安をいくつか挙げておきます。
ひとつは、下請け構造のどこにいるか。多重下請けの末端、いわゆる孫請けになるほど、条件が厳しくなりがちな印象があります。間に会社が挟まるほど、現場に落ちてくる運賃は薄くなるからです。もうひとつは設備投資。スワップボディのような新しい輸送システムや、それなりの金額がかかる仕組みを導入できている会社は、その投資を回収できるだけの運賃を取れている可能性が高いと推測できます。ただし気をつけたいのは、「特定の荷主に依存している=悪」とは一概に言えないことです。適正な料金をきちんと払ってくれる優良な荷主との専属なら、むしろ安定の強みになります。依存度の数字だけで良し悪しは測れません。
もっと手軽に、求職者が自分の目で拾えるサインもあります。ひとつは「道路や車庫から見える車両」です。年式の新しいトラックがそろっているか、パワーゲートやエアサス、最新の安全装備が付いているか——運賃を取れている会社は、車両の更新とドライバーの負担軽減にお金を回せます。逆に、古い車を限界まで使っていて、そうした負担軽減の装備があまり見えないなら、車両や設備にお金を回す余裕は大きくないのかもしれません。海コンなら、ヘッドの年式やシャーシ(台車)の傷み具合を見れば、台所事情はだいたい透けます。
もうひとつは「スマホから見える求人の出しっぱなし度」です。同じ会社が一年中、しかも何人も募集し続けていないか——求人サイトを少し遡るだけで分かります。万年募集は、入っても辞めていくことの裏返しでもあります。待機中のスマホでパッと確かめられる、手軽なチェックです。
② 減った残業代を、基本給や手当で補えているか
これが一番大事です。残業を削るのは会社の都合でできてしまいます。問題は削った分を放置しているか、別の形で埋めているか。ここで会社の本気度がはっきり分かれます。実際に補填している会社のやり方はいくつかあります。大幅なベースアップ(基本給の底上げ)や、「残業補償手当」といった名目で新設した固定手当——呼び名は会社によってさまざまです。歩合の会社なら、運賃単価のアップや、高速代・車両維持費を会社負担にするといった形で、ドライバーの取り分を守ろうとします。前章で書いた、私の会社が組合の春闘で固定の残業手当を勝ち取った話も、この一種です。
ただし、固定の残業手当がある会社では、「何時間分の手当なのか」「それを超えた分は別途支払われるのか」まで確認した方がいいです。名前だけ立派でも、実態として残業代をごまかす形になっていたら意味がありません。
面接では「2024年問題を受けて、給料体系をどう変えましたか」とストレートに聞いていいです。残業を減らしただけで給料の作り直しをしていない会社は、ドライバーの手取りが落ちることまでは面倒を見ていない、ということです。年収や手取りの相場感そのものは、大型トラックドライバーの年収の記事で具体的な数字に触れているので、判断のものさしにしてください。
③ 中継輸送やモーダルシフトで、長距離の負担を分散しているか
仕組みそのものを変えて時間内に収めている会社は、対応力が高いです。たとえば東京〜大阪間で、以前は車中泊での通し運行だったのを、途中の自社流通センターで一度荷物を下ろし、そこから先は大阪側の支店が運ぶ形にして日帰り運行に変えている会社があります。あるいは夜間の作業スタッフを増やし、ドライバーが出勤する前にバラ荷物を積み込んでおいて、出勤したらすぐ走れるようにしている会社もあります。こうした工夫がある会社は、規制の中でもドライバーを長く走らせず、かつ物量を確保できています。「長距離はどう組んでいますか」「中継や積み込みの段取りはどうなっていますか」と聞くと、対応の引き出しの多さが見えます。
④ 拘束時間が「読める」配車になっているか
年960時間という時間外労働の上限とは別に、現場では拘束時間や連続運転時間の管理も重くのしかかる。待機、荷積み、荷下ろし、手積み手下ろし、渋滞、いわゆる430(連続運転4時間ごとに必要な休憩)のための停車——これらは扱いがそれぞれ違いますが、運行全体の時間を圧迫するという意味では同じです。休憩そのものは賃金計算上の労働時間とは別でも、現場感覚としては「その時間も含めて一日の運行が組まれる」。だからこそ、配車が行き当たりばったりの会社は、すぐに時間が足りなくなります。逆に拘束時間が「読める」配車を組めている会社は、無駄な待機を減らし、その分をちゃんと走りに回せています。「だいたい何時に終わりますか」「待機時間は労働時間として付きますか」への答えが具体的で淀みない会社は、配車管理がしっかりしている証拠です。
この4点は、面接で掘れば見えてきます。ただ、求人を探す最初の段階からこの目線を持っておくと、回り道がぐっと減ります。どんな条件の会社が出ているかを眺めるところから始めたい人は、トラック転職サイトの選び方・使い方の記事に進め方を整理してあります。
求人票の「残業最大60時間以内」に注意
会社選びで、求人票の数字だけを鵜呑みにするのは危ないです。特に注意したいのが「残業最大60時間以内」という表記です。この業界で60時間以内と書いてあると、「無茶な配車はしない会社なのかな」と好意的に受け取りやすいです。ですが蓋を開けると、60時間を超えた分を翌月に繰り越すような運用をしている会社もあると聞きます。

一般に、月60時間を超える法定時間外労働には、通常より高い割増賃金率が適用されます。その支払いを避けるために、もし残業の扱いを翌月にずらすような運用が行われているなら、ドライバーにとって不利益になり得ますし、労務管理上も問題になり得ます。「残業60時間以内」イコール優良企業、では決してありません。数字の見栄えではなく、その数字がどう運用されているかを確かめないと、意味がありません。
面接・転職時に確認したいチェックリスト
求人票の数字だけで判断しないために、面接や条件確認の場で聞いておきたいことをまとめておきます。全部を詰問する必要はありませんが、会社が言葉に詰まる項目があれば、それが弱点です。
| 確認すること | 見たいポイント |
|---|---|
| 36協定・特別条項の有無 | そもそも締結しているか。していなければ要注意。 |
| 残業代の払い方 | 実際の残業時間どおりに支払われるか。 |
| 60時間超の扱い | 翌月繰越をしていないか。割増分をどう払っているか。 |
| 待機・荷役の時間 | 待機や荷積み荷下ろしが労働時間として付くか。 |
| 長距離配車の決め方 | 希望制か、全員ローテか。収入への影響は。 |
| 2024年問題への対応 | 給料体系をどう変えたか。手当で補ったか、削っただけか。 |
特に、36協定の有無や残業代の扱いをはっきり説明できない会社は、かなり慎重に見た方がいいです。何かあったときに会社が責任を取らず、ドライバーに押し付けてくる可能性があります。面接で何を聞けばいいかをもっと体系的に知りたい人は、トラック転職で失敗しない会社の選び方に、ブラック運送会社の見分け方と面接の質問例をまとめてあります。あわせて読むと、確認すべき項目の意味がよりはっきりするはずです。
よくある質問(FAQ)
Q. 2024年問題で、ぶっちゃけ給料は減ったんですか?
残業代に給料が依存している人ほど、減りやすいです。残業の上限が意識されて働ける時間が短くなった分が、そのまま手取りに響くからです。ただし、減った分を基本給アップや手当で補っている会社もあって、同じ2024年問題でも会社によって手取りは二極化しています。「業界全体で減った/減っていない」とひとくくりにはできない、というのが現場の実感です。
Q. 2024年問題のいま、転職するのはアリですか?
私はむしろチャンスだと思っています。各社の対応差がはっきり見えるようになった時期で、ドライバーを守る気がある会社とそうでない会社を見分けやすいです。加えて、自動車運転の職業の有効求人倍率は近年2倍を超える高い水準が続いていて、経験のあるドライバーは引く手あまたです。年齢を理由に諦める必要はありません。
Q. 「残業最大60時間以内」と書いてある求人は、安心していいですか?
数字だけで判断するのは危ないです。60時間以内と書いてあっても、超えた分の扱いや割増賃金の払い方は会社によって違います。大事なのは表記そのものより、その数字が実際どう運用されているかです。面接で「60時間を超えたらどうなりますか」と具体的に確認してください。
面接でどこまで踏み込んで確認すべきかを体系的に知りたい人は、運送会社の面接で会社の本音を見抜く逆質問もあわせて読んでください。給料・拘束時間・待機・自己負担まで、現役の確認術をまとめてあります。
Q. 2024年問題に強い会社は、どう見分ければいいですか?
外から完璧に見抜く方法はありませんが、目安はあります。①運賃を荷主に転嫁できているか②減った残業代を基本給や手当で補えているか③中継輸送などで長距離の負担を分散しているか④拘束時間が「読める」配車か——この4点です。あわせて、車両の新しさや求人の出しっぱなし度など、求職者が外から拾えるサインを見ると精度が上がります。
まとめ:2024年問題は、会社選びの「ものさし」になった
2024年問題は、ただの法律改正で終わりませんでした。残業が減り、手取りが減り、長距離配車の扱いが変わり、会社の収益まで苦しくなりました。そして何より、その会社がドライバーの生活を守る気があるかどうかが、くっきり見えるようになりました。
これから転職する人は、求人票の数字ではなく「この会社は2024年問題にどう対応したか」を見てください。運賃を転嫁できているか、減った残業代を補えているか、仕組みを変えて負担を分散できているか、配車が読めるか——この4つを確かめるだけで、入る前に会社の体力と本気度がかなり読めます。冒頭の元同僚のように、同じ働きでも会社次第で手取りは大きく変わります。裏を返せば、会社を選べば守れるということです。
会社ごとの対応差がこれだけ見えやすくなった今は、会社を選び直すには悪くないタイミングです。良い対応をしている会社と、しわ寄せで回している会社の違いが、これだけはっきり出ている時期もそうありません。動くなら、今だと思います。どこから手をつければいいか迷ったら、トラック転職の進め方をまとめた記事を入口にしてみてください。会社選びが、そのまま収入の差になります。
※本記事は筆者自身の経験と、運行管理者(貨物)としての制度理解、および前職の同僚から見聞きした話に基づく内容です。労働時間・賃金・36協定・割増賃金などの法令や運用は改正・解釈の幅があり、適用や判断は会社・運行管理者・社会保険労務士・所轄官庁によって異なります。本記事は法的・労務的な助言ではなく、特定の会社を指すものでもありません。実際の条件は、必ず応募先の就業規則や雇用契約、最新の公的情報で確認してください。

