海上コンテナドライバーの仕事とは?1日の流れをリアルに解説

「海上コンテナドライバーって、具体的に何をする仕事なの?」

港に出入りする大きなトレーラーを見たことはあっても、実際にどんな仕事をしているのかまでは、意外と知られていない。

ひとことで言えば、港と荷主の間でコンテナを運ぶ仕事だ。普通のトラックのように自分で荷物を積み下ろしすることは、ほとんどない。だから体への負担は少なく、会社によっては大型トラック以上に稼げる。ただし待ち時間が読めなかったり、全長16メートルのトレーラーを扱う技術が要ったりと、楽なことばかりでもない。

この記事では、海コン歴12年以上・トラック業界20年以上の私が、仕事内容・1日の流れ・普通のトラックとの違い・きつい部分も良い部分も、現場目線で正直に書く。転職を考えているドライバーも、「荷積み荷下ろしの少ない仕事に変えたい」と思っている人も、参考にしてほしい。

海上コンテナドライバーの仕事内容:何をする仕事か

ひとことで言うと、港と荷主の間でコンテナを運ぶ仕事だ。

「コンテナ」とは、あの金属製の大きな箱のこと。長さは主に2種類あって、20フィート、40フィートと呼ばれる。

船で海外から運ばれてきたコンテナを、通称ヤードと呼ばれる港や、VANPOOLというコンテナ蔵置場などで受け取り、荷主の工場や倉庫まで届ける。船で運ばれてくるコンテナには、貨物(荷物)の入っていない物と入った物があり、業界では空VAN、実入りと言われる。

空VANは、日本国内で中に貨物を積み込み、港まで持っていき、また船に積載される。いわゆる輸出だ。実入りは、貨物の入った状態で日本に届き、倉庫や荷主先で貨物を出す。こちらは輸入だ。中身を出した空コンテナは、また港やVANPOOLに持っていく(返却)。たまに荷主と、コンテナの持ち主である船会社との契約で、港やVANPOOLを通さず、そのまま新たに貨物(荷物や資材、廃棄物等)を積み込み、輸出としてコンテナを再利用するケースもある。

他に重要なポイントがある。ドライバーがコンテナ内の貨物(荷物)に触れることは、原則禁止されている。ドライバーは貨物に基本的に触らない。コンテナを運ぶのが仕事なので、荷役は荷主が行う。
これが普通のトラックドライバーとの一番大きな違いだ。

では、なぜそこまで貨物に触らないのか。理由は「契約だから」だけではない。そもそも、勝手に開けられない仕組みになっているからだ。

輸入コンテナの扉には、番号や記号の刻印されたシール(封印)と呼ばれる金属の留め具がついている。開けるにはシールそのものを破壊するしかない。一度使えば終わりの使い捨てだ。

このシールは貨物を詰めた出発地で取り付けられ、シール番号が船荷証券(B/L)などの書類に記録される。到着地で書類の番号とシールの番号が一致して初めて、「輸送中、誰も中に触れていない」という証明になる。逆に番号が違っていたり、シールが切れていたりすれば、「誰かがどこかで勝手に開けた」ということになる。

そして、このコンテナを正規に開けられるのは、原則として荷受先の荷役時か税関検査のときだけだ。ドライバーが開ける場面はどこにもない。もし好奇心で開けて、貨物の数量が違ったり、中から申告にないもの、違法なものが出てきたら、真っ先に疑われるのは最後にそのコンテナを触っていた人間——つまり自分だ。リスクしかない。

荷役(積み下ろし)も同じ理屈だ。コンテナに貨物を詰める作業(バンニング)は出発地の荷主側で、取り出す作業(デバンニング)は到着後に荷受人の倉庫で行われる。ドライバーは封印された箱を運ぶだけで、中身の積み下ろしは前後にいる別の人たちの仕事になる。

「触らない」ことは、実はドライバーにとって大きなメリット

これは一見すると無責任に聞こえるかもしれないが、実際は逆だ。

普通のトラックは自分で積んで自分で下ろすから、途中で荷物が壊れれば「ドライバーが雑に扱ったんじゃないか」と疑われる余地ができてしまう。一方、海コンは封印された箱を運ぶだけなので、仮に中で何かが壊れていても、海外から届くまでのどの段階で壊れたのか証明は難しく、ドライバーが問われることはまずない。

つまり、荷物の破損責任を負わずに済む。責任の線引きが明確だからこそ、余計なストレスを抱えず運転に集中できる。これは大きな利点だ。だからと言って、荒い運転をしていいわけではない。そこは、プロドライバーとしての自覚と技術が必要だ。

海上コンテナドライバーの1日のスケジュール(リアル版)

私の場合。

7:00 車庫に出勤・乗務前点呼

東京の車庫に出勤してアルコールチェック・体調確認、道路状況、今日の運行内容(どの港、何本、業務内容等)、注意点などが確認される。

7:30 東京港、横浜港へ出発

仕事内容により、東京港、横浜港へ。

8:00〜 指定された場所で指定されたシャーシを繋ぐ

コンテナ業界各社で、シャーシプールというシャーシを台切り、保管する場所を契約している。乗用車でいうところの月極駐車場のようなものだ。シャーシプール以外にも、荷主先や自社倉庫など、その場所は様々だ。

8:30〜9:00 港でコンテナを積み下ろし

コンテナヤードに入り、指定されたコンテナをシャーシ(トレーラーの台車部分)に積載、または卸す。
コンテナ積載の荷役機器は数種類あって、ヤードやロケーション(ヤード内でコンテナを積む場所)、実入り、空コンテナにより使い分ける。
主な荷役機器は、コンテナ専用フォークであるトップリフター(通称トンボ、スプレッダー)、コンテナを自走で持ってきてシャーシにトンネルのように載せるストラドルキャリア(通称キャリア)、ロケーションまで行きコンテナを吊り上げて載せるトランスファークレーン(通称テナー)がある。

各港内には、安全のため、作業円滑化のための独自ルールがあり、慣れるまで時間がかかる。

9:00〜12:00 荷主の工場・倉庫へ配送

コンテナを届けて書類を渡す。先ほども説明した通り、ドライバーはコンテナ内の貨物に触れることはできない。荷主がコンテナ内の貨物の荷役を行う。
故に、コンテナの配送の形にも種類が存在する。トレーラーを繋いだまま荷主の荷役完了を待つツケ待ち。荷主に指定された場所にコンテナを付け、トレーラーシャーシを切り離す台切り。そして、コンテナだけを下ろすドカ卸し(ドカ置き、ドカ)。台切りとドカ卸しは、当日や後日に切り離したシャーシや卸したコンテナを回収に行くため、ドライバーはその場で待機する必要はなく(荷主・会社の待機指示がない場合)、他の仕事に取りかかれる。

13:00〜 2本目・3本目をこなす

荷主配達の場合は1日2〜3本が標準的だ。また、港内でヤードからヤードやVANPOOL、逆にVANPOOLからヤードやVANPOOLへコンテナを移動するポジション、シフト作業も会社によって存在する。その場合は1日の作業本数が二桁になることもある。

車庫に帰着・乗務後点呼

帰庫して点呼・日報を提出して終わり。

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普通のトラックと何が違うのか

①ヘッド(トラクタ)とシャーシ(台車)が別々

最大の違いはここだと思う。運転席のあるヘッドと、コンテナを積載するシャーシは、ヘッドのカプラーという部分とシャーシのキングピンという物で連結されている。内輪差が大きかったり、ジャックナイフ現象というのもトレーラーならでは。

②車体がでかい(最大全長約16.5メートル)

大型トラックが最大全長12メートルに対して、セミトレーラーは最大全長16.5メートル。曲がるとき・バックするときの感覚がまったく違う。

特にバックは最初に苦労する。セミトレーラーのバックは、ハンドルを切る方向が通常と逆になる。ここが最大の違いだろう。言葉で説明するのは難しいが、シャーシ後部を右に向けたければハンドルは左、左に向けたければハンドルは右。シャーシを押し込んでバックしていく感覚。頭でわかっていても、体がついてこない時期がある。「よくあんなの運転できるね」と言われることが多いが、慣れれば…いや、慣れてもたまに難しい(笑)。でも一発で決まった時の爽快感はクセになる(笑)。

③荷積み荷下ろしがない

荷積み荷下ろしがない。荷役がない分、体への負担を抑えられる。これが長く続けられる仕事として選ばれる理由の一つだ。

④荷物破損の心理的プレッシャーがない

先にも説明したが、コンテナの中身は荷主のもの。ドライバーが開けることも触ることもしないため、「荷物を壊したらどうしよう」というストレスがない。これは精神的にかなり楽だ。

⑤港が職場になる

日本五大港で言うと、東京港、横浜港、名古屋港、大阪港、神戸港とあるが、それぞれ港独自の環境・ルールがある。最初は戸惑うかもしれないが、慣れると独特の居心地の良さがある。

海上コンテナドライバーのきつい部分(正直に)

港・荷主での待ち時間が読めない

月末・年末、各ヤードの決まった曜日はコンテナヤードが混みがち。コンテナの積み下ろしだけで何時間もかかることがある。また、港はサイバーテロの標的にされることがあり、実行された場合ヤードがストップしてしまう。過去に、翌日まで動かなかったこともあった(会社に迎えに来てもらい、トレーラーを置いて帰った(笑))。
しかし近年、ヤードもかなりセキュリティ強化を実施し、今ではほとんど起こらないか、起きてからのリカバリーは格段に早くなってきている。
貨物によっては、荷主での待機時間(荷役時間)がトラックよりも長くなることがある。「待つ仕事」に慣れる必要がある。

全長約16メートルへの慣れが必要

狭い工場の構内、一般道での右左折など、慣れるまでの数ヶ月は神経を使う。ただし、これはどんなドライバーでも通る道だ。

海上コンテナドライバーの良い部分(正直に)

荷積み荷下ろしがほぼない=体が長持ちする

これが一番大きい。長く現場で働き続けるために、体への負担を減らすことは大切だ。荷役がほぼない海コンは、その点で長期的に見て大きなメリットがある。

給料が高め

地場に限る話かもしれないが、大型トラックと比べると、海コンドライバーの給料は高い傾向がある。私の周りでは、大手の物流・海運系企業に勤めて年収600万円超という人も珍しくない。詳しい給料事情は海上コンテナドライバーのリアルな給料・手取りで書いている。

比較的時間が読みやすい

港の混み具合により変動はあるが、朝出て夕方帰るサイクルが基本だ。

ちょっとだけ優越感

これは、私の体感と経験による完全な独断と偏見。16.5メートルの首振りの車体を普通に運転しているだけで、周りの反応が違う。特に大型トレーラーの左折時は迫力があり、歩道で信号待ちをする歩行者や、左折先の対向車の方から拍手のようなジェスチャーをいただいたり、園児が手を振ってくれることもしばしば。これは、4トン、大型のトラックに乗っていた時にはない経験だった。

こんな人に向いている仕事

  • 荷積み荷下ろしをしたくない・体を楽にしたい
  • 今の仕事環境を変えて、安定して稼ぎたい
  • 比較的規則正しい生活を送りたい
  • でかい車を運転することに興味がある
  • 待ち時間を一人の時間として使える

逆に「とにかく動いていたい」「待つのが極端に苦手」という人には向かないかもしれない。

まとめ:海上コンテナドライバーは会社をしっかり選べば、「長く稼げる」仕事

海上コンテナドライバーは、港と荷主の間でコンテナを運ぶ仕事だ。

荷積み荷下ろしがない・給料が高め・比較的規則正しい生活ができる、という点で、トラック業界の中でも特に「長く続けられる仕事」として評価されている

「今の会社じゃ心や体が持たない」「もっと稼ぎたい」「規則正しい時間で働きたい」と感じているドライバーには、転職先として強くすすめられる。

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現役ドライバーが経験をもとに書いています。手続きやルールの細部は会社・地域・税関の判断によって異なる場合があります。

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