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「ウイング車って、荷役はきついの?」——転職を考えてトラックの仕事を調べていると、必ずぶつかる疑問だと思います。
私はこれまで、4トンのウイングから始まって、大型ウイング、ウイングトレーラーと乗り継いできました。そして今は、荷役がほとんどない海上コンテナ(海コン)の世界にいます。つまり「ガッツリ荷役をやる側」と「荷役をしない側」の両方を、現場で体験してきた人間です。
その経験から先に結論を言います。ウイングの荷役がきついかどうかは、「車種」ではなく「何を、どんな現場で積み下ろしするか」でほぼ決まります。同じ大型ウイングでも、天国みたいに楽な仕事もあれば、体がガチガチになる仕事もあります。
この記事では、私が実際に経験してきたウイング車の荷役について、きれいごと抜きで書いていきます。ただし、これはあくまで私の経験に基づく話です。会社や現場によってルール・荷物・荷役条件は大きく違いますし、身バレ防止のため、会社名・現場名・時期などの細かい部分は一部ぼかしています。
そもそもウイング車の荷役とは
ウイング車は、荷台の側面が鳥の翼(ウイング)みたいに上へガバッと開く構造のトラックです。横が大きく開くから、フォークリフトで横から荷物を積み下ろしできるのが最大の強み。平ボディや箱車(バン)より、荷役が速くなりやすいです。

ただ、現場での荷役のやり方は大きく分けて3つあります。
- フォークリフトで積む……パレット(荷物を載せる台)ごとフォークで積む。体は一番楽。
- 手積み・手下ろし……一個ずつ人間が積む。これが体にくる。
- ラッシング(固縛)……積んだ荷物が走行中に動かないよう、ベルトやバーで固定する作業。これが地味に奥が深い。
「アオリ」(荷台のあおり板=側面の下半分の板)や、電動・油圧で開閉するウイングの仕組みなど、細かい話もいろいろあります。まずは、一番きつさを感じやすい「手積み」の話からいきましょう。
手積みのリアル:じわじわ効いてくる
私が手積みしてきた荷物は本当にいろいろあります。段ボール、飲料、粉物の食品が入った大きなバッグ、ドラム缶……。種類を挙げればキリがありません。

その中で体に一番きたのは、ゴルフボールです。意外でしょう。でも、ゴルフボールは1ケースがそれなりに重いです。一個一個はたいしたことなくても、数が嵩んでくると、じわじわ効いてきます。2,500ケースをピストン輸送(同じ区間を何往復もする運び方)したときは、終わったあと体がガチガチになりました。
忘れられないのが、打ちっぱなし(ゴルフ練習場)に4トンで運んだときの話です。数自体は少なかったんですけど、現場には台車だけがポツンと用意されていました。
やり方はこうです。まず荷台の端から端まで荷物を一旦並べる。荷台から降りる。台車に積み替える。50メートルほど離れた倉庫まで押していく。下ろす。これをひたすら繰り返します。

朝に着いたのに、終わったのは昼くらい。時間がかかりすぎて、次の客先の集荷に間に合いませんでした。
会社に事情を話したら、次からは応援要員(荷役を手伝う人手)として係長が横に乗っていくことになりました。一人でやる量じゃなかった、ということです。
ほかにも、工業製品の細かい部品。細かいくせに重くて、倉庫からはバラバラの状態で出てきます。それを手積みして、行き先ごとに仕分けながら手で下ろします。
あるいは、おもちゃ1万ケース。一個は小さいけど、仕分けしながらバラ積み・バラ下ろしで、着時間の指定は夕方。こういう仕事は、確実に家に帰るのが遅くなります。
体だけじゃなく、精神的にきついのは「パレットで積んできたから、パレットでそのまま下ろせる」と思っていたのに、現場で「このパレットに積み替えて、元のパレットは持って帰ってね」と言われたときです。
これを読んでいる現役ドライバーの中には、今、大きく頷いている人がいるはずです(笑)。
手積みのきつさは「重さ」だけじゃありません。「数」と「仕分けの手間」と「時間が読めないこと」が三位一体で効いてきます。これが手積みの正体です。
パレット×フォークは楽。でも「乗れる/乗れない」で天国と地獄
逆に、フォークで積み下ろしできる現場は、体としては圧倒的に楽です。パレットごとフォークでガンガン積めるから、手積みとは比べ物になりません。
ただ、ここに落とし穴があります。「自分がフォークに乗れるか/乗っていいか」で、現場の天国と地獄が分かれます。
フォークリフト作業は、資格だけでなく、会社の方針や客先のルールも関係します。資格を持っていても、会社として「客先でのフォーク作業は禁止」としている場合もありますし、逆に「現場で必要になるから乗る前提」という会社もあります。
私が大手にいた頃は、客先でのフォーク作業は禁止でした。安全管理上、そういう方針の会社は多いです。基本は先方に下ろしてもらいます。
でも、初めて行く現場で、お客さんに「そこにあるフォークで、そこらへんに下ろしといて」と言われたことがありました。「会社のルールで乗れないんです」と伝えたら、あからさまに冷たくされました(笑)。舌打ちされて、受領書を投げるように渡されたこともあります。
あるときは「フォークに乗れないなら待ってて」と言われ、9時に着いたのに、実際に下ろせたのは午前の部の最後、12時くらい。3時間待ちです。
安全のための方針なのは分かります。会社としても、事故や破損を防ぐためにルールを決めています。ただ、現場ではそのルールが待機時間につながることもあります。ここは、外から求人票を見ているだけでは分かりにくい部分です。
逆に、別の会社ではフォーク作業OKでした。それはそれで楽なんですけど、運転中の荷崩れや破損だけじゃなく、フォーク作業での破損まで自分の責任になります。どっちにも良し悪しがある、というのが正直な感想です。
ラッシング(固縛)はウイング荷役の奥義
手積みやフォークの話より、実は私が一番「奥が深い」と思っているのがラッシングです。積んだ荷物を、走行中に動かないように固定する作業のこと。これがちゃんとできないと、荷物を壊します。
私が主に使っていたのは、ラッシングベルト(締め付けるベルト)とラッシングバー(突っ張り棒)の2つ。
ベルトを使うときは、ベニヤ板や緩衝材を当てて、荷物が傷つかないように保護します。特に飲料系はシビアです。箱に傷が入ったり、破れたり、凹んだりはもちろんアウト。パレットの上で荷物がズレただけでも、ダメージ扱いになることがあります。
だから、パレットとパレットの間、前後左右に、これでもかと緩衝材を詰めて守ります。

難しいのは力加減です。締めればいいってもんじゃありません。新人で4トンに乗っていた頃、締めすぎて製品の細いパイプを歪ませてしまったことがあります。守るための固縛で、逆に壊す。最初はこの塩梅が本当に難しいです。
ラッシングバーの出番は、カゴ物(キャスター付きのカゴ台車に載った荷物)を積むときでした。当時積んでいたカゴ物は、大きさも重さもバラバラで、キャスター付き。ロックがないものもあれば、ロックをかけても安定しないものもあります。
ベルトでいくら締めても、少し走るとゆるゆるになります。だから、あらゆる隙間に緩衝材を入れて、後ろをラッシングバーで突っ張って固定していました。
おもしろいのは、ラッシングはドライバー一人ひとりが自分で工夫して編み出すものだということ。だから、やり方が人によって全然違います。現場にはプロ級の職人がたくさんいます(笑)。
昔、ラッシングがものすごく綺麗な他社のドライバーさんがいて、話を聞かせてもらったら、すごく勉強になりました。自作のラッシング道具まで見せてくれて、真似させてもらったりしました。こういう横のつながりは、現場ならではだと思います。
【一番の失敗談】ウイングを歪ませてレッカーになった話
ラッシングがらみで、一生忘れられない大失敗があります。
背の高い製品などで、どうしてもアオリ(側面の板)側でラッシングできない場合、ウイングの内側にベルトやバーを掛けて固定することがあります。もちろん、やり方は会社や車両のルールに従う前提です。
このとき絶対にやってはいけないのが、固定を解除しないままウイングを開けること。電動・油圧で開くウイングは力が強いです。固定されたまま開けようとすると、すごい音がしてウイングが壊れるか、最悪、荷物まで壊します。
これが、大型の新人教育中に起きました。荷下ろし先に着いて、お客さんに「ちょっと待ってて」と言われたので、私は一人でトイレに行きました。その新人は4トンから大型に上がってきたばかり。彼が前に乗っていた4トンは、ウイング内側にラッシング固定用のレールがないタイプでした。
つまり、「ウイングにラッシングを掛ける」という発想自体が、彼の頭になかったのです。
私がトイレに行っている間に、フォークが来て「ここで下ろすから開けて」と言われました。焦った新人は、ウイングの内側にラッシングが掛かっていることを忘れて、操作してしまいました。
トイレから戻ったら、歪んだウイングと、呆然とした新人とフォークオペレーターがそこにいました。その車は、まだ新しい私の担当車でした。
ウイングには、開いているとエンジンがかからない安全装置が付いている車両もあります。歪んでウイングが閉まらない。エンジンがかからない。自走できない。結果、レッカー。
お客さんには多大な迷惑をかけました。動けない大型トラックは、現場でかなり邪魔だったと思います。そして私は、指導員として会社にこっぴどく怒られました。
荷役は、知らないというだけで大きなトラブルにつながります。これは、未経験で入る人にこそ知っておいてほしい話です。
4トン・大型・ウイングトレーラーで、荷役と運転はどう違う?
「車種が大きいほど荷役もきつい」と思われがちですが、それは半分正解で半分外れです。荷台の高さは荷物次第・車種次第で、大型とウイングトレーラーはほぼ同じ。4トンでも同じ高さの車種はあります。荷役のきつさを決めるのは、やっぱり車のサイズより「中身」なんです。
一方で、運転のフィーリングは3車種でけっこう違いました。当時の私の体感ですが、車種ごとに整理するとこうなります。
4トンウイング
運転のフィーリング
スピード感は一番あります。運転席が低いせいかもしれません。タイヤが内側に入っている感じで、横のロール(揺れ)が大きく感じました。
体への負担
リーフサス(板バネ)で、とにかく腰にきました。
大型ウイング
運転のフィーリング
どっしり安定。荷台で何かあれば「やっちまった」と何となく伝わってきます。
体への負担
キャブサス(運転席の振動を吸収する装置)や座席のショック吸収があって楽です。
ウイングトレーラー
運転のフィーリング
とにかく長いです。連結だから、荷台の挙動がダイレクトに伝わってきません。
体への負担
大型同様、足回り・座席の快適性は高いです。
ウイングトレーラーに初めて乗って、荷台に立ったときのことは今でも覚えています。第一声が「後ろ遠っ!」でした。本当に長く感じました。
運転していても長いです。海コンの40フィートとほぼ同じ長さのはずなのに、なぜかウイングトレーラーのほうが長く感じます。不思議なことに、バックするときの感覚は同じです。
トレーラーならではの怖さは、連結ゆえに荷台の動きが手元に伝わりにくいこと。道路を走っていて思いがけない段差で「ドン」と来たり、やむを得ない急ブレーキをかけたりすると、「あれ、今の大丈夫か?」「やったかも……」とヒヤヒヤします。大型なら「あ、やっちまったかも」と何となく分かるのに、トレーラーはそれが読みにくいです。この感覚の違いは、乗り換えてみないと分からないと思います。
4トンから大型・トレーラーへのステップアップで何が変わるかは、こちらの記事でも詳しく書いているので、あわせて読んでください。
サイズごとに運転の取り回し(内輪差やケツフリ)や荷役の重さがどう変わるかは、4t・大型・トレーラーのウイングを乗り比べた記事に詳しくまとめてあります。
体への負担:4トンの腰、サスの差は大きい
正直に言うと、一番腰にきたのは4トンです。今の4トンは乗り心地がいいのかもしれませんけど、当時はリーフサス(板バネのサスペンション)で、すぐ腰が痛くなりました。
大型とトレーラーは、足回りに加えてキャブサスがありましたし、座席にもショック吸収(油圧)が付いていました。座席のショックは、正直、私には運転しづらくてロックして使っていました。それでも車格が上がるほど、体は楽になっていきました。
ちなみに夏の倉庫内は、どの車種だろうと関係なく暑いです(笑)。手積みで汗だくになるのは、車のサイズだけではどうにもなりません。
荷役なしの海コンと比べてどうか
で、今の私は荷役がほとんどない海コンに乗っています。両方やった人間として比べると、体は圧倒的に海コンが楽です。
海コンのヤード(コンテナを扱う構内)では、受付もほとんど車に乗ったまま。ヤード内は下車禁止のことが多く、タッチパネルでの受付だから、人と荷役で気を使う場面が少ないです。手積みもラッシングの職人芸もいりません。
じゃあウイングから海コンに移って失ったものは何かというと、正直、ほとんどありません。強いて言えば、体を動かす機会くらいです。
これが何を意味するか。「荷役がきついかどうか」は、トラックドライバーという仕事の中でも、選ぶ仕事内容によって天と地ほど変わるということです。体力に自信がなくても、荷役の少ない仕事を選べばいいです。逆に「体を動かすほうが性に合う」人は、手積みの仕事でもバリバリやれます。大事なのは、自分に合った現場を選ぶことです。
きつい荷役を避けたいなら、会社・仕事選びが9割
ここまで読んでくれた人は、もう分かっていると思います。同じ「ウイングドライバー」でも、仕事内容しだいで、きつさは全然違います。だからこそ、転職するなら求人票と面接で「荷役の中身」を確認することが何より大事です。
私がチェックするポイントはこのあたり。
- 手積みか、パレット(フォーク)か……ここが体への負担を一番左右する。
- フォークに乗る必要があるか/乗っていいか……資格だけでなく、会社と現場のルールも確認する。
- 付帯作業(仕分け・検品・台車での横持ちなど)はあるか……「運ぶだけ」じゃない作業が、時間と体力を食う。
- 待機や荷待ちが長くないか……フォーク待ちで3時間、なんてこともある。
こういう「求人票に書いてない中身」をどう見抜くかは、トラック転職で失敗しない会社の選び方に詳しくまとめてあります。会社の良し悪しでこんなに変わるのか、という話は大手物流と中小運送の違いもあわせて読むと腹落ちすると思います。
「荷役の少ない仕事」「フォーク中心の現場」を探したい人へ
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よくある質問(FAQ)
Q. 未経験でもウイングの荷役はできますか?
できます。ただし、いきなり完璧を目指さなくていいです。私もラッシングの力加減で失敗しましたし、最初はみんな手探りです。大事なのは、分からないことを「分からない」と言える環境かどうか。先輩が教えてくれる会社を選べば、荷役は経験で身についていきます。
Q. フォークリフトの資格は必須ですか?
必須ではありませんが、あると仕事の幅が広がるのは間違いありません。ただし前述の通り、会社によっては「客先でフォークに乗ってはいけない」方針のところもあります。逆に、フォークに乗る前提の現場もあります。資格を取るかどうかは、入りたい会社の仕事内容や方針も見て決めるといいです。取るか迷っている人は、トラックドライバーにフォークリフト免許は必要かで、現役が実際にフォークを使う場面から取り方・費用まで掘り下げているので、あわせて読んでみてください。
Q. 手積みばかりの仕事を避けるにはどうすれば?
求人票と面接で「荷役はパレット中心か、手積みか」をはっきり聞くこと。ここを濁す会社は、入ってから「思っていたより手積みが多い」となりがちです。遠慮せず確認していいです。
まとめ:ウイングの荷役は「車種」より「荷物と現場」で決まる
ウイングの荷役がきついかは、車のサイズじゃなく「何を、どんな現場で積み下ろすか」で決まります。ゴルフボール2,500ケースのピストンも、ウイングを歪ませた失敗も、全部その「中身」が生んだものです。
だから転職で見るべきは、車種より「仕事の中身」です。ここを確認せずに入ると、「思っていた仕事と違う」となりやすいです。
逆に言えば、自分に合う現場を選べれば、トラックの仕事は長く続けやすいです。体を動かすのが好きな人もいれば、荷役の少ない仕事のほうが合う人もいます。大事なのは、自分の体力や性格に合った仕事を選ぶことです。
自分に合う現場の探し方に迷ったら、現役で比較したおすすめ3選を入口にしてみてください。
※本記事は筆者自身の経験に基づく内容です。荷役の作業方法・安全基準・車両の仕様は、会社や現場によって異なります。実際の作業は、必ず所属先のルールと現場の指示に従ってください。

