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「トラック運転手はやめとけ」。これから運送業界に入ろうとして検索した人も、今まさに辞めるかどうかで迷っている人も、一度はこの言葉を目にしたと思います。
先に結論を言います。「やめとけ」は職業への評価ではありません。会社と、その会社の働かせ方への評価です。同じ「トラック運転手」という肩書きでも、中身は別の仕事といっていいくらい違います。
そう言い切れるのは、私自身が「やめとけ」と言われる側にいたからです。それも二度あります。一社目の大手は給料で、二社目は働く時間で、それぞれ別の理由で辞めました。二社目では朝4時に出勤して、帰るのは日付が変わる頃。多い月は残業が実働で120時間、それでも手取りは29万円。1年以上その生活を続けて、頭に円形の脱毛ができました。
私は業界20年超、うち海上コンテナを13年引いている現役ドライバーです。大型・けん引・大型特殊・フォークリフト・運行管理者(貨物)を持っていて、社内で新人の添乗指導員も務めてきました(運営者プロフィール)。この記事では、求人を出す側が絶対に書けない「時間と給料の実際の数字」から、「やめとけ」の正体を話します。

私が「やめとけ」と言われる側にいたときの、1日と1ヶ月
抽象的な話をしても伝わらないので、当時の私の生活をそのまま書きます。一社目の大手を辞めて、転職した二社目の運送会社で、ウイングトレーラーに乗っていた頃の話です。
出勤は朝4時。起きるのは3時前です。点呼を受けて車を出し、そこから走って、積んで、下ろして、帰ってくる。帰庫するのは夜です。日付が変わることもしばしば。始業から終業までが16時間から18時間。日によって差はありましたが、12時間で終わる日のほうが珍しい感覚でした。いや、ほとんどありませんでした。
問題は、その翌日です。デジタコ(デジタル式運行記録計)の帰庫ボタンを押した時刻から、きっちり8時間空けての翌日出勤でした。22時に帰庫したら、翌朝6時に出勤です。4時出勤が基本でも、前の日が遅ければその分だけ後ろにずれていきました。8時間のあいだに、日報を仕上げて、車内の整理整頓、時には洗車。家に帰って、飯を食って、風呂に入って、寝て、また出てくる。実際に眠れるのは4時間あるかどうかです。

この8時間には、当然ながら通勤も入っています。家が車庫から近い人はまだましですが、遠い人はその往復ぶんだけ睡眠が削られます。同じ勤務表でも、住んでいる場所で実際に眠れる時間が変わる。これも入ってみるまで想像していませんでした。
しかも、リズムが一定ならまだ体が慣れます。休みの前の日だけ、急に10時出勤になることがありました。そして日付が変わるまで仕事です。休みの前日に一番長い日が来る。翌日は休みだから体は回復するだろう、という組み方だったのだと思います。実際には、休みの日はどこにも出かける気力もなく、ずっと家でダラダラしていました。
関東から関西への便もありました。基本的に家に帰れないのは一日です。ただ、帰ってきたその日にまた関西へ行かされたこともあります。その場合は二日、家に帰れません。トラックの中で寝る生活そのものは慣れれば何とかなりますが(車中泊と出先点呼の実際は別記事にまとめました)、問題は寝る場所ではなく、いつ帰れるか分からないことのほうでした。また、長距離を専門としていないので、トラック車内の装備は地場仕様。これが地味にキツく、寝台は硬いし、枕や布団を積んでいるわけでもない。冷蔵庫や保温の設備もないので買い置きができない。自分で用意しようと思ったのですが、会社の方針で「余計なものは積まない」とされていたため、それもできませんでした。
これを1ヶ月積み上げると、多い月で残業は実働120時間。それでも手取りは29万円でした。そして、この生活が1年以上続きました。当時、同棲していた彼女がいましたが、この生活サイクルがあまりにも合わず、同棲を解消されてしまった経験があります。
頭に円形の脱毛ができたのは、その頃です。ストレス性の円形脱毛症でした。原因が本当に仕事だけだったのかは私には分かりませんが、あの生活と無関係だとも思えません。
ただ、正直に言うと、体よりきつかったのは別のことでした。ある日ふと、「俺は一生この会社で、こんな人生を送るのか」と思ったんです。今日の疲れは寝れば多少は抜けます。でもこの問いには、寝ても答えが出ませんでした。
当時の基準と、今の基準は違います
ここで大事な補足をします。いま同じ働かせ方をしている会社があるなら、それは今の基準に照らして明らかにおかしいです。
トラック運転者の労働時間には「改善基準告示」というルールがあり、2024年4月から内容が変わりました。当時と今を並べると、こうなります。
| 項目 | 当時(旧基準) | 今(2024年4月〜) |
|---|---|---|
| 勤務と勤務の間(休息期間) | 継続8時間以上 | 継続9時間を下回らない (11時間が基本) |
| 1日の拘束時間 | 原則13時間・最大16時間 (15時間超は週2回まで) |
原則13時間・最大15時間 (14時間超は週2回が目安) |
| 1か月の拘束時間 | 293時間 | 284時間 |
| 時間外労働の上限 | 適用猶予(罰則付きの上限なし) | 年960時間 |
※いずれも原則です。1回の運行が450km以上で自宅以外で休む長距離運行(週2回まで拘束16時間・休息は継続8時間)、休息の分割、2人乗務、フェリー乗船などには特例があります。
私が押していた「帰庫ボタンから8時間」は、当時の休息期間の下限ぴったりでした。今の基準では、自宅に帰って休む普段の勤務なら9時間を下回れないので、あの回し方はもう成立しません。1日の拘束時間の上限も、16時間から15時間に下がりました。
残業のほうはもっとはっきりしています。月120時間を12ヶ月続ければ年間1,440時間です。今の上限である年960時間の、ちょうど1.5倍にあたります。
参考:厚生労働省「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト/トラック運転者の改善基準告示」https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/truck/notice
国土交通省「トラックドライバーの労働時間等のルールの概要」(改正前の基準)https://www.mlit.go.jp/common/001119975.pdf
当時の会社を責めたいわけではありません。言いたいのは別のことです。あなたが今もらっている求人票や、今いる会社の勤務表を、この数字に当ててみてください。合っていないなら、それは「トラック運転手だからきつい」のではありません。その会社がおかしいんです。
手取り29万円が、なぜ「やめとけ」になるのか
「月の手取り29万なら悪くないじゃないか」と思う人もいると思います。実際、金額だけ見れば同年代の平均から大きく外れているわけではありません。
でも、その29万円は残業を実働で120時間やった上での29万円です。時間で割ってみると、話がまるで変わります。若いうちは稼げる、という業界の評判は本当です。ただし、時間で割った瞬間に、その「稼げる」は崩れます。
時間で割ると、いくらになるのか
残業が一番多かった月で、実際に割ってみます。所定の労働時間が月に170時間ほど。そこに残業が120時間乗るので、合計で月290時間前後です。それで手取りが29万円でした。
単純に割ると、1時間あたり、およそ1,000円です。手取りは税金や社会保険料を引いたあとの金額なので、額面の時給とは違います。それでも、10年以上トラックに乗ってきた人間の1時間の値段が、この水準だったということです。
120時間も残業して、なぜこの金額にしかならないのか。二社目は基本給が12万円で、足りない分を各種手当で埋める給料体系でした。残業代は基本給と一部の手当をもとに計算されるので、基本給が低いと、いくら残業しても給料は伸びません。このカラクリは海コンドライバーの年収・手取りの記事で詳しく書きました。
この計算を当時の私はしていませんでした。給料は「月にいくら入るか」でしか見ていなかったからです。残業代がつくぶん、明細の数字は同年代より大きく見える。その見え方に納得していました。時間で割る発想がなかったことが、あの生活を長引かせたのだと思います。
一社目の大手を辞めた理由も、給料でした
実は、給料で「やめとけ」を実感したのは、二社目が初めてではありません。一社目の大手を辞めた理由も、給料でした。
一社目は安定した大手で、辞めると伝えたときには先輩たちから「こんなに安定してる会社はない」と止められたくらいです(1ヶ月続いた引き止めの話は別の記事に書きました)。それでも辞めました。ある時、事務の給料を知る機会があったんです。高卒で10年以上トラックに乗ってきた私より、大卒1年目の事務職のほうが、手取りで5万円以上多かった。
あの日でモチベーションが完全に切れました。相手を妬んだわけではありません。学歴の差だと言われれば、それまでです。ただ、自分が10年かけて積み上げてきたものは何だったのか、と思ってしまった。そして、10年乗ってこれなら、20年乗っても大して変わらないだろうという見通しまで立ってしまったんです。
会社には、辞める理由は給料だと正直に話しました。そうして一社目を辞め、転職した二社目で待っていたのが、冒頭に書いた、残業が月120時間に届く生活です。一社目で釣り合わなかったのは給料、二社目で釣り合わなかったのは時間でした。

これが「やめとけ」の正体のひとつだと私は思っています。きついから「やめとけ」なのではありません。きつさに対して、返ってくるものが釣り合わない。そして、この先も釣り合いそうにない。その構造が見えた瞬間に、人は辞めます。
だからもし今、求人票を見比べているなら、額面の年収ではなく「その金額をもらうために、何時間拘束されるのか」で並べ直してください。月給30万円と書いてあっても、固定残業が何時間ぶん含まれているかで中身は別物です。手取りだけで会社を選ぶと危ない理由は、会社の選び方の記事でも詳しく書きました。
削れるのは体より先に、判断力です
長時間労働の話をすると「体がきつい」に集約されがちですが、現場感で言うと、順番が逆です。先に削れるのは判断力のほうでした。
体の疲れは自覚できます。腰が痛い、肩が張る、足が重い。でも判断力が落ちているときは、落ちていること自体に気づきにくい。信号が変わるのに気づくのがコンマ何秒か遅れる。車間の詰め方が普段より雑になる。「まあ行けるだろう」の基準が、自分でも知らないうちに下がっていく。
二社目の頃の私が、まさにこの状態でした。帰庫から8時間で次の出勤、眠れるのは4時間あるかどうか。慢性的な寝不足で、判断は日々鈍っていきました。そしてある時から、このまま走り続けるのは危ないと、はっきり感じるようになったんです。
だから二社目を辞めるとき、会社にはこう伝えました。「このままでは、事故を起こすかもしれない」。脅しでも、辞めるための方便でもありません。本当にそう感じていました。
実際、身近で起きた話もあります。二社目で一緒に働いていた同僚の話です。ここからは私が直接見たことではなく、本人から直接聞いた話(伝聞)として書きます。
その同僚は、私が二社目を辞めたあと、追いかけるように転職しました。ところが、移った先もまたブラックな会社でした。そこで毎日16時間を超える乗務を続け、ある日、高速で居眠りをして追突事故を起こしました。問題はその後です。荷物と車両の修理代を、給料から3年間にわたって天引きされたそうです。総額はおよそ90万円。彼はそれを払い切ってからその会社も辞め、退職後に裁判を起こして60万円を取り戻しました。
この話の怖いところは、事故そのものではありません。16時間を超える乗務を毎日させておいて、その結果起きたことの代金を個人に払わせる、という発想のほうです。眠いまま走らせる会社を、私なら選びません。
もうひとつ、この話から分かることがあります。ブラックな会社を辞めても、次の会社を見極めないまま移れば、また同じ場所に戻ってしまうということです。辞めることと、次を選ぶことは、別の作業です。
一社目の大手にいた十数年前には、協力会社のドライバーが仕事の途中で姿を消したこともありました。サービスエリアに残されたトラックは、鍵が刺さったまま、荷物も載ったままでした。なぜいなくなったのか、本当のところは今も分かりません。この話と、さきほどの天引きが法律上どう扱われるかは、辞められない悩みについて書いた記事に詳しくまとめています。
眠気と運転の怖さについては、トラックの運転が怖いと感じる話のほうでも触れています。運転技術の怖さと、疲労で判断が鈍る怖さは、別物です。
それでも、きつさの中身は車種で違います
ここまで読んで「やっぱりやめておこう」と思った人もいるかもしれません。ただ、もうひとつ知っておいてほしいことがあります。「トラック運転手」でひとくくりにするのが、そもそも無理があります。
先に断っておきます。私が乗ったのは、4トンと10トンの箱車(ウイング車を含む)・ウイングトレーラー・海上コンテナトレーラーの4つだけです。ダンプもミキサーもタンクローリーも、ルート配送も経験していません。乗っていない車種のきつさを、私は語れません。ネットで調べた情報を並べることはできますが、それは私のホンネ。ではないので、ここには書きません。
そのうえで、自分が経験した範囲で言うと、車種によって違うのは「体のきつさ」よりも「時間の削られ方」でした。
4トン箱車(一社目・地場)
時間の削られ方
一日に回る軒数が多く、それぞれに時間指定がつきます。一軒が押すと、あとが全部ずれます。走っている時間より、着いてから動いている時間のほうが長い日もありました。
読めなさの正体
自分の努力ではどうにもならない要素(渋滞・現場の混み具合)で、終わりの時刻が動きます。
10トン箱車(一社目)
時間の削られ方
積む荷物の中身で、終わりの時刻が決まりました。フォークで積める荷物なら早い。手で積む荷物なら、量がそのまま時間になります。
読めなさの正体
車ではなく荷物です。具体例はこのあと書きます。
ウイングトレーラー(二社目)
時間の削られ方
関東から関西への便があり、帰れないのは基本的に一日。ただし帰ったその日にまた出されれば二日です。一日単位ではなく「何日戻れないか」で生活が決まりました。
読めなさの正体
効いてくるのは、行きの運行そのものより、帰ってからの予定が立たないことです。そこに荷役(にやく)の読めなさも重なります。荷役の詳細はウイング車の荷役の実態をまとめた記事で書いています。
海上コンテナトレーラー(一社目・現職)
時間の削られ方
荷役がないので体は楽です。代わりに、港での待機が読めません。動いていない時間が長いのに、拘束は続きます。
読めなさの正体
自分でも会社でもなく、港の都合で決まります。海コン特有の事情は「海上コンテナドライバーはやめとけ」は本当かの記事にまとめました。
箱車の話をもう少し具体的にします。同じ箱車でも積むものによって一日の長さが変わります。これは乗ってみるまで分かりませんでした。
一社目でトラックに乗っていた頃、毎週のように運んでいたものを例に挙げます。一袋1トンのフレコンバッグ(中身はプラスチック製品の原料)は、積み下ろし先のオペレーターがフォークで荷役してくれるので早い。潤滑油の原料が入った1缶180〜200キロのドラム缶は、こちらが手で転がしてパレットに載せます。荷主がパレットを用意してくれていたので段取りは組めましたが、一本ずつ転がす以上、本数がそのまま時間です。
一番意外だったのが、テニスボールをバラで運ぶ仕事でした。積みも下ろしも手作業です。一箱は軽い。軽いのに、終わらない。軽いので積める箱数も多い。そうなると、終わりがなかなか見えないのもしんどい。また、これにはゴルフボールバージョンもあります。ゴルフボールは一箱が重く、箱数はテニスボールの約半分ほど。数は少ないけど、一つ一つに重さがあるので、これがまたしんどい。終わる頃には腕はパンパンでした。

逆の極端もあります。コンタクトレンズを作るための材料を運んでいたときは、大型の荷台に天井まで積んでも、総重量が5トンに届きませんでした。容積で満載、重量はガラガラです。こうなると、積み下ろしそのものは早く終わります。
荷物によって体のきつさがどう変わるかは荷役の記事に譲りますが、時間の観点で言えば結論はひとつです。求人票の車種だけ見ても、その仕事が何時に終わるかは分かりません。聞くべきは車種ではなく、何を、どこで、誰が積み下ろしするかです。
「やめとけ」を真に受けていい人、受けなくていい人
新人の添乗指導員をやっていたので、入ってきて辞めていった人も、残った人も、それなりの人数を見てきました。
よく「向いている人の特徴」みたいなチェックリストを見かけます。ただ、私の経験では、あれはあまり当てになりません。辞めていった人が折れた場所は、見事にバラバラでした。
運転で折れる人がいます。車幅の感覚がつかめない、バックが決まらない、毎日ヒヤリとして精神が持たない。時間で折れる人がいます。運転も荷役も問題なくこなすのに、生活リズムが崩れたまま戻せなくなる。そして人間関係で折れる人もいます。荷主でも、上司でも、同僚でも。
つまり「トラック運転手に向いているか」という一本の物差しは存在しません。折れる場所が人によって違うなら、避け方も人によって違います。運転に不安があるなら、慣れるまで添乗で付いてくれる会社。時間がきついなら、拘束時間が読める会社。人間関係が心配なら、一人で完結する時間が長い仕事。苦手なところがひとつあっても、それを避けられる会社と車種を選べば、続けられます。

そのうえで、あえて整理するなら、「やめとけ」が当たってしまうのはこういう場合です。
- 終わる時刻が読めない生活に、どうしても慣れられない
- 拘束時間の長さを、給料で納得できていない
- 会社を選び直すという発想がないまま、目の前の一社で我慢している
三つ目が一番大きいと私は思っています。一社目がたまたまきつい会社で、そこだけを見て「トラック運転手はきつい」と結論を出してしまう。そこで業界ごと見切りをつけるのは、もったいないと思います。
これは責められる話ではありません。毎日16時間拘束されていると、他社の条件を調べる時間も気力も残らないからです。求人サイトを開く体力があるうちに動けるかどうかが、実際の分かれ目になります。比べる物差しがあると、人は動けます。私が一社目を辞めたきっかけも、たまたま事務の給料を知って、物差しが手に入ったことでした。物差しを持たないまま我慢していると、我慢していること自体が普通になります。
逆に、真に受けなくていいのはこういう場合です。
- 一人で完結する仕事のほうが、気を使わずに済んで楽だと感じる
- 時間の読めなさよりも、人に細かく管理されるほうが苦痛だ
- 求人票と面接で条件を確認し、合わなければ断る判断ができる
私が20年以上この仕事を続けているのは、根性があるからではありません。合わない会社を二度辞めて、働き方を選び直せたからです。今は荷役のない海上コンテナに乗っていて、体への負担は二社目の頃とは比べものになりません。同じ業界の中で、私は別の仕事に移ったようなものです。
抜け出せる会社と、抜け出せない会社の見分け方
ここまでの話をまとめると、「やめとけ」と言われる原因のほとんどは、職業ではなく会社の側にありました。では、元同僚のように辞めた先でまた同じ目に遭わないためには、どこを見ればいいのか。私が求人票で必ず確認するのは、この4つです。
- 拘束時間が何時間と書いてあるか。書いていない求人は面接で必ず聞く
- 「月給30万円以上」の内訳。固定残業が何時間ぶん含まれているか
- 前日の終業から翌日の始業まで、何時間空く運用になっているか
- 月の休日数と、その休みが実際に取れているか
特に三つ目です。私が当時8時間で回されていた部分が、今は普段の勤務なら9時間を下回れません。面接で「前日の終業から翌日の始業まで、どれくらい空きますか」と聞いてみてください。すぐに数字が出てくる会社は、管理ができています。質問の意味が通じなかったり、「日によって違う」などと回答を濁したりする会社は、その時点で答えが出ています。「そんなこと聞いてくるなら採用しないよ」と言われてもいいんです。こちらから願い下げです。

聞きにくいと感じるかもしれませんが、条件の確認は面接で当然やることです。むしろ、何も聞かずに入ってくる人のほうが、会社側から見ても長続きしないことは分かっています。「入ってから思っていたのと違った」で辞められるより、先に確認してもらったほうが会社も助かります。
言い方に迷うなら、「入ってからのミスマッチを避けたいので確認させてください」と前置きすれば十分です。それで気を悪くする会社なら、入ってからも同じ扱いを受けます。
そして今は、聞く側にとって有利な時期でもあります。業界は慢性的な人手不足で、しかも主力のベテランが順番に定年を迎えていく構造になっています。会社が人を選ぶのではなく、ドライバーが会社を選べる側にいます。40代・50代の未経験から入る人も現実にいます。
条件の確認の仕方や、ブラック企業の見分け方そのものは会社の選び方の記事に詳しく書いたので、そちらも読んでみてください。
そのきつさに、その給料で本当にいいんですか
きついのは事実です。そして、誰にでもできる仕事でもありません。問題は、その大変さを数字で評価している会社にいるかどうかです。人生は一度きりです。諦めずに、周りを見てみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 結局、トラック運転手はやめたほうがいいですか?
職業として避ける理由はない、というのが私の答えです。ただし会社は選んでください。この記事で書いた月120時間の残業も、帰庫から8時間での再出勤も、職業の宿命ではなく一社の運用でした。同じ業界の中に、労働時間を管理できている会社は実在します。
Q. 未経験から入るのは無謀でしょうか?
無謀ではありません。人手不足で未経験歓迎の求人は多く、入口は開いています。ただ「誰でもいいから来てほしい」だけの会社が混ざっているので、入口の広さと会社の良さは別だと考えてください。全体像は未経験からトラックドライバーになるガイドにまとめています。
Q. 運転が下手でも務まりますか?
務まります。新人指導をしていて感じたのは、慎重な人ほど、あとから伸びるということです。運転の怖さそのものについてはこちらの記事で詳しく書いています。
Q. 体力に自信がありません。荷役のきつい仕事は避けられますか?
避けられます。荷役があるかないかは求人票と面接で確認できますし、私が今乗っている海上コンテナのように、荷役がない仕事もあります。荷役の中身で何がどう変わるかはウイング車の荷役の記事を読んでみてください。
Q. 辞めたいのに、会社が辞めさせてくれません
私も二社目で辞表の受け取りを拒否されたことがあります。結論から言えば、辞められます。手順と、実際に私がどうしたかは会社が辞めさせてくれないときの対処法にまとめました。
まとめ:「やめとけ」の中身を、自分の数字に置き換えてください
「トラック運転手はやめとけ」という言葉には、たしかに中身があります。私の場合、一社目の大手では給料が、二社目では時間が釣り合いませんでした。二社目では朝4時から16時間超の勤務と帰庫から8時間での再出勤が続き、多い月は120時間の残業をしても手取りは29万円、最後は円形脱毛症まで出ました。でもこれはどれも、トラック運転手という職業の話ではなく、それぞれの会社の話です。
だから、この言葉を真に受ける前にやってほしいことがひとつあります。「やめとけ」を、自分が見ている求人票の数字に置き換えてみてください。拘束時間は何時間か。休息は何時間空くか。その給料は、何時間働いた結果なのか。数字に置き換えた瞬間に、それが職業の問題なのか、一社の問題なのかが分かれます。
私は会社を選び直すことで、20年以上この仕事を続けています。同じ業界の中に、まったく違う働き方があります。求人を見比べるところから始めるなら、現役の目で比較した転職サイト3選が入口になります。
※本記事は筆者自身の経験と、見聞きした範囲の話に基づく内容です。労働時間の基準は改正されることがあります。最新の内容は厚生労働省・国土交通省の公式情報および各求人の募集要項で確認してください。
